Python製デプロイツール Fabricを初めて使う際に役立つTips
by @dekokun on 2013/04/07 19:30
Tagged as: Python, Fabric, デプロイツール.
2013/04/09 追記 意外と反響があるようなので、Tips追加しました。 2013/05/10 追記 並列実行について調べたのでついでに追記
「次のプロダクトはシンプルなデプロイツールだと噂のCinnamonでも使ってみるかー」と言っていたら、「Cinnamonは使ってるユーザ数が少なそうだし同様のことが行えるFabricのほうがいいんじゃないですかね。」というツッコミをいただき、今回はPerlのプロジェクトでもないためFabricを使用することにしました。
初めて触るFabric、やはり初学者にはいろいろとよくわからない部分があったため、はまって解決したことや便利なTipsなどをつらつらと列挙していきます。
なお、以下情報はPython2.7及びFabric1.6でのみ検証しています。
以下、Tipsです。
日本人がはじめの一歩を踏み出すには
以下を参考にするといいでしょう。バージョンが古いですが、特に問題ないかと。私もpipでインストールしました。
英語でもいいなら、以下本家のドキュメントがいいんじゃないですかね。
run関数を呼んだ際、リモートサーバ側では実際にどのように実行されているんですか
わざと失敗してみるとわかりますが、以下のようにbash -l -cで実行しています。
from fabric.api import run
def exittest():
run('exit 1')
## Requested: exit 1
## Executed: /bin/bash -l -c "exit 1"
SCPがしたい
デプロイの際など、ローカルのファイルをリモートに送りたい場合などありますよね。local(‘scp hoge fuga@host:…’)などしてもいいですが、もっといい方法があります。
(2013/04/13 追記) コメントいただきました。fabricのputはSCPではなくSFTPなのですね(参照:fabric/operations.py 及び fabric/sftp.py)。ありがとうございます。
解決策
put関数を使いましょう。
from fabric.api import put
def scp():
put('local path', 'remote path')
local pathの部分はワイルドカードも使えますよ。もちろんディレクトリも送ることができます。
実行される際の環境変数を変更したい
ローカル実行、リモート実行共に、環境変数を規定して何かを実行したい場合がありますよね。
解決策
shell_env関数を使いましょう
from fabric.api import local, shell_env, run
def envtest():
with shell_env(HOGE='fuga'):
local('env')
run('env')
上記のように、同じ環境変数をローカルとリモート両方で使用できます。
上記だと、export HOGE=“fuga”が呼ばれた後に後続のコマンドが実行されます。
どこかにcdしてコマンドを実行させたい
デプロイの際にcd repo_path && git fetch && git checkoutみたいなことしたいこともありますよね
解決策
リモートでcdする場合はcd関数、ローカルでcdする場合はlcd関数を実行しましょう。
with構文を抜けると、cd, lcdの効果はなくなります。
from fabric.api import run, local, cd, lcd
def cdtest():
local('mkdir -p hoge')
run('mkdir -p hoge')
with cd('hoge'):
local('pwd')
run('pwd')
with lcd('hoge'):
local('pwd')
run('pwd')
開発環境と本番環境用にデプロイ先を分けたい
まぁ、デプロイツールであれば当然の要求ですよね
解決策
方法がいくつか考えられます。デプロイ先毎にタスクを分ける方法と、デプロイ先を定義するタスクを作り、そのタスクを呼ぶことでデプロイ先を切り替える方法。(その他もろもろ)
from fabric.api import env
# デプロイ先毎にタスクを分ける方法
def dev_deploy():
deploy('devserver')
def production():
deploy('prodserver')
def deploy(server):
env.hosts = [server]
...
# タスクのなかでデプロイ先を定義
# $ fab develop deploy など、デプロイ先を定義するタスクを呼ぶことでデプロイ先を制御
def develop():
env.user = 'devuser'
env.hosts = ['dev']
def production():
env.user = 'produser'
env.hosts = ['prod.server.com', 'prod2.server.com']
def deploy():
...
とにかく、なんらかの方法でenv.hostsやenv.userを書き換えればよいです。
他にも$ fab deploy:devserver など、コマンドラインでデプロイ先をタスクに直接与える方法や、デフォルトの$ fab -Hでデプロイ先を指定する方法など、いろいろ考えられますね。
私は、fabfileでデプロイ先をバージョン管理したいかつ、一番柔軟な方法を取りたいという思いがあり、上記の「タスクのなかでデプロイ先を定義」を採用しています。
ロールを分けたい
デプロイツールであれば、「本番環境のなかにもWebサーバとツールサーバがあり、それぞれデプロイする内容が違う」ということを行いたい欲求は確実に出てきます。Ruby製デプロイツールのCapistranoにあるロールのようなものが欲しいですよね。
解決策
roledefsでロールを定義し、デコレータを使用してタスクにロールを紐付けることができます。
from fabric.api import env
from fabric.decorators import roles
def production(user='vagrant'):
env.user = user
env.roledefs.update({
'webservers': ['host1', 'host2'],
'toolservers': ['host3'],
})
def develop(user='vagrant'):
env.user = user
env.roledefs.update({
'webservers': ['host4'],
'toolservers': ['host2'],
})
@roles('webserver')
def webserver_deploy
...
# $ fab develop webserver_deploy とすれば、develop環境のWebサーバに対して対象のタスクが実行されます。
fabfileに関数を作成したいけどタスクとして実行できないようにしたい
fabファイルの中で普通に関数を定義するとタスクとして実行可能になってしまい気持ちが悪いので、補助用の関数はタスクとしてコマンドラインから実行できないようにしたいですね。
解決策
サブタスクにしたい関数名の初めにアンダーバーを入れろ。以上(疲れてきた)
引数指定したい
タスクに引数を渡したい場合がありますよね。
解決策
$ fab hoge:fuga
でhoge関数の第一引数に’fuga’を渡すことができます。
$ fab hello:name=Jeff とかね。最初に提示したチュートリアル(Overview and Tutorial)に載っているから詳しくはそっち参考にしてね。
ssh_configの設定を使用したい
何もせずに.ssh/configの設定を使用しようとしても、.ssh/configを使用せずにsshで接続しようとしてしまいます。Fatal error: Name lookup failed for server1
とかエラーメッセージが出たりしますよね。
解決策
以下1行を書いておけば、.ssh/configを使用してsshで接続してくれます。
env.use_ssh_config = True
タスク内でホスト名を取得
なんでホスト名を取得したくなったのか忘れたが、とにかく取得したいと思ったことがあったのです。
解決策
env.hostを使えば良い感じです
以下で、タスクが各ホストに対して順番に実行されている様子が観察できます。
env.hosts = ['host1', 'host2']
def hosttest():
print env.host
タスク内で各ホストに対して並列実行したい
ホストが増えたら並列実行できないとお話になりませんよね。
解決策
$ fab -Pで、全てのタスクの中を並列実行にすることが可能です。
タスク毎に並列実行か直列実行かを指定したい場合は、以下のようにデコレータを使用してください。
from fabric.api import env, run
from fabric.decorators import parallel
@parallel
def sleeptest():
run('sleep 3')
タスク毎に同時並列最大数を規定したい
一気に全部並列実行はやばいけどチマチマserial実行は時間がかかりすぎるよねって時。capistranoのmax_hostで設定するのと同じようなことをしたいことってありますよね。
解決策
上記のparallelデコレータにpool_size=で最大同時実行数を指定しましょう
from fabric.api import env, run
from fabric.decorators import parallel
@parallel(pool_size=2)
def sleeptest():
run('sleep 3')
全タスクから見える変数を定義したい
まぁ、したいことありますよね。リポジトリのURLを定義したり、途中で状態を変えたり
解決策
envに値をセットすることでどこからでも取り出すことが可能になります。
ここ、本当にこれでいいんですかね。私はもっと定数的なものが欲しいんですけども。Fabric使いの人からのツッコミをお待ちしております。
from fabric.api import env
env.test = 'hoge'
def envtest():
print env.test
env.test = 'fuga'
def envtest2():
print env.test
# $ fab envtest envtest2
# hoge
# fuga
# Done.
以下、2013/04/09追記
コンフィグファイルを使いたい
コンフィグファイルに設定を記載し、その情報を使ってデプロイをしたいことってありますよね。
解決策
.ini形式のファイルをfab -cオプションで指定することが可能です。-cオプションがない場合は$HOME/.fabricrcを読みにいきます。文字列しか指定できないため、配列で指定しなくてはいけないenv.hostsはコンフィグファイルに書けないのであまりうれしさはないけども。
fabricrc:
user = vagrant
hoge = fuga
fabfile.py:
from fabric.api import env, run
env.hosts = ['server1', 'server2']
def deploy():
run('deploy.sh')
def printenv():
print(env.hoge)
# $ fab -c fabricrc deploy
# 上記で、fabricrcに指定したvagrantユーザに対してrunが走る
# $ fab -c fabricrc printenv
# 上記で'fuga'と出力される
env.hostsを別ファイルに切り出したい
fabricをデプロイツールとして見た際に、やはりデプロイ先は別ファイルとして切り出したい感じありますよね。実際、そのような内容のツイートをいただきました。productionとdevelopそれぞれに1ファイルずつあるとわかりやすいのではないかと。
解決策
力技で行きます。ファイルを行で分割して配列に格納します。本当にこの方法しかないのかな…過去にgithubのfabricのリポジトリ上で「env.hostsは設定ファイルで指定したい」「yamlがいいんじゃないか」等と議論していたのですが、特にその辺りの成果は出ていないようです。
以下でも力技の解決策で人々が頑張っている姿がみうけられます。
production.conf:
server1
server2
development.conf
server3
fabfile.py:
from fabric.api import env, run
def product():
env.user = 'pro_user'
env.hosts = _get_servers('production.conf')
def develop():
env.user = 'dev_user'
env.hosts = _get_servers('development.conf')
def deploy():
run('deploy.sh')
def _get_servers(file_name):
servers = map((lambda x: x.rstrip()), open(file_name, 'r').readlines())
while(True):
try:
servers.remove("")
except ValueError:
break
return servers
# fab product deploy でserver1, server2にデプロイ
感想
Fabric、シンプルでいいですね。やりたいことが簡単にできます。 最近、Pythonを書く機会がじわじわと増えてきており、今年はへび年だしそういうものなのかなと感じております。 私自体初心者であるため、もしかしたらもっといい方法があるかもしれません。ツッコミお願い致します。
その他雑感
このブログが運用されているGithub Pagesのドメインがgithub.comからgithub.ioに変わっちゃいましたね。 はてブとかtwitterの言及数とかfacebookのいいね数とかが全部0になっちゃいましたね。引き継げないんですかね。
Pythonつながりの話ですが、Ansibleという構成管理ツールが少し話題になっていましたね。私はChefでknife-soloを使ってリモートからchef-solo実行みたいなことしかしていなかったため、Ansibleでもいいんじゃないかと思いました。 あとは、Chefの豊富なresourceとrecipe達に太刀打ちできるかですかね。使ってみなくては。
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